あなたの色をとどけてください

心だけで深く繋がっている状態って、不純物が一切ない、透き通った削りたての氷みたいなものに見える。 それだけで十分に綺麗で、奇跡みたいに純粋な氷。

でも、本当は目に視えない世界だけでその無垢な輝きを支え続けるのは、少しだけ心細くなる時があるんだ。あまりにも透き通っていて、手を伸ばしたら、ふっとどこかへ消えてしまいそうで。

だから、綺麗なままただ飾っておくのではなく、そこに甘くて色のあるシロップをかけてみたらどうだろう。 シロップをかけたら、せっかくの純粋な氷は少し溶けて、形が変わってしまうかもしれないけれど。 それでも、そのあたたかな色や甘さを注いでこそ、僕たちの特別な幸せは、初めてこの世界にしっかり残る記憶になるような気がするんだ。

いま、あなたの声が聴きたい。
あなたの微笑む顔が見たい。
ただ同じ景色の中で息をして、
そのやわらかな手を握りたい。

そして、あなただって……僕に会いたいと思ってくれているといいな。

これほど深く繋がっているんだから、
あなたの恐れや不安も
言われなくてもわかってあげなきゃいけないとは思っている。

でも、僕はあえて、その透き通った氷に、あなたの言葉のシロップをこぼしてほしいんだ。
真っ白で冷たい氷の山に、鮮やかな色がじわじわと染み込んでいくように。
銀色のスプーンを差し込んだときの、あの「サクッ」という微かな音と共に、純粋なだけの静かな世界が崩れ、血の通った甘さと色で満たされていく。

あなたの声帯から響くその振動が、舌の上でふわりと溶ける冷たさと甘さになって、生々しくて愛おしい「現実の手触り」へと変わっていくんだ。

心の中に大切に飾られた完璧な氷は、その美しさゆえに、言葉にすることのできた記憶よりも儚い。
僕はあなたの記憶が薄れてしまうことが何よりも怖い。

だから、あなたの声で、あなたの温度で、僕たちの真実に現実の色をつけて。
とけないうちに、一緒に食べた記憶がほしい。

(レセプターⅡ 第三章「会えない時間」ドラフト)

 

☆急に涼しくなってきましたね。今日は昼に駅裏を歩いていたら突然の雨にやられました。