春が近づいてきたのか、
目の前の雪が少しずつ解けている。
溶けていく様子が見えるわけじゃない。
ただ、明日になれば、
今日よりも少し低くなっていることを僕らは知っている。
そんなふうに、季節が進む中、
君だって、きっと、僕のことを思っていてくれている――
と思う。
少なくとも、僕はそう信じている。
実際、出会った頃より、
僕たちはずっと同じ場所に近づいている気がするんだ。
長い年月の中で
少しずつ深まっていくものがあるよね。
それなのに、
いつまでも変われない僕らがいる。
これほど僕が会いたいと知っているはずなのに、
君の時間は、きっと僕より少しゆっくり進んでいて、
いや、そうだろうか――
それは多分違う。
本当は、もう君は、
僕から見えないくらい近くまで来てくれていて、
それに気づかない僕は、
そんな君がどこにいるのか探しているだけなんじゃないか。
もしかしたら、雪が解けるのも、同じことなのかもしれない。
遠くから見ていると、
まだ一面が白いままで、何も変わっていないように見える。
けれど、本当はその下で、水が流れはじめていて、
形は少しずつ変わっている。
僕が気づいていないだけで、
僕たちもきっと、そんなふうに進んできたのだろう。
探しているつもりで、
実は、もうすぐそばに立っている君を
見落としているだけなのかもしれない。
そう考えると、
焦る理由も、少しだけ分からなくなる。
雪が解けて、
気づけば春が来ていたみたいに、
僕たちの時間も、いつか気がつけば、
同じ場所にたどり着けるのかもしれない。
だから、会えない時間がどんなに辛くても
何も見えなくなる時があっても
それでもそのまま
全部の君が好きだ。

(レセプターⅡ 第三章「会えない時間」ドラフト)