はじめての朝

あなたが生まれた朝、
僕は戦場の片隅で
咲いていた名もない花を見た。
その種を拾って、
なんとしても家に帰らねば――
そう思って、必死に生き延びた。

家に戻った庭は、
戦場と同じくらい静かだった。
誰も待っていない家で、
僕はあの種を土に埋めた。

何日も、何も起きなかった。
それでも毎朝、水をやった。
生き延びた意味を、
土の中に預けるように。

ある朝、
小さな芽が顔を出していた。
それを見た瞬間、
胸の奥で何かがほどけた。

まだ君には出会っていない。
それでも、この世界を
もう一度信じてもいいと思えた。

君に会う前から、
僕は君を選んでいた。

だから――
たとえこの先、
世界がもう一度、壊れることがあっても、
僕は君を離さない。

それくらい、君が好きだ。